〜遅れた対策が生む“差別”〜

C型肝炎を最近完治させた、元養護教諭の○○さん(○歳)は20年間、歯科治療を受けずにいた。「歯科医院では問診票に“肝炎ウイルスに感染していますか”という設問があります。それを申告して差別的な対応を受けた人がいましたし、子供がイジメを受ける可能性があるので、周囲に肝炎患者だと知られたくなかった。だから20年間我慢していました。」

 

これが一般の人ならばこの発言は許せますが、養護教諭という立場でこの対応はないのでは?と思います。養護教諭は自分が感染させる可能性がある、また、学校の児童が感染している可能性があるのなら、それなりの処置、どうしたら感染するのか、どうしたら感染しないのかという事を十分に知っておく必要があります。歯科医院は通う、通わない、選ぶ、選ばないで自由に選択出来ます。しかし、学校というところの保健室を選ぶことが出来ません。子供のイジメの可能性もありますので、必要以上に肝炎を自らいう必要はないですが、感染経路をしっかりと知っておくべきです。この時点でこの養護教諭は歯科の問題以前に失格ですね。

この記者も元教諭で出せばまだ良いのですが、保健室にいる先生、内科的な問題だけではなく、外傷などで子供達が来ます。その時の対応だって考える必要があります。

それに本当に“肝炎ウイルスに感染していますか”という設問があるのでしょうか。事前に聞く、問診票は肝炎に限らず、色んな病気、飲んでいるお薬を聞きます。治療において私たちが注意すべき事項を聞かなければ多くの問題を抱えることになりますから特別に肝炎だけを聞くことはまずありません。それがどこの医院でもある問診票なのです。おもしろおかしく書くのは良いですが、それはとても不可思議な質問です。

それからもう一つ、「それを申告して差別的な対応を受けた」というのがありますが、どこまでを差別というのかという事も問題があります。観血処置(出血がある処置)をした場合など感染する可能性はとても高くなります。使っていない器具、そしてユニット(診療台)などすべて薬液で清拭しますが、オートクレーブにかける事は出来ません。肝炎の患者さんが使用した後は数時間使用しないことはあります。患者さん側も歯科医院側も第3者に対して感染しないように考える事は決して悪いことではないですよね。

もし歯科医院で差別というのであれば、それは“治療拒否”ですよ。