銀歯やセラミックなど、「削って詰めて被せる治療」の先にあるのが抜歯だ。歯は一度抜いてしまうと後戻りは出来ない。前出・○○院長が警告する。

「中には、短時間で抜歯をどんどんやったほうが、効率良く利益が上がると考えている歯科医も存在します。特に多いのが、破折を理由に抜歯を勧めるパターンです。これは接着する等の治療法があるのですが、手間と時間がかかるので、根管治療と同じくコストパフォーマンスが悪い。だから歯医者はやりたがらないのです。」

 

とても良いことを言っているようですが、破折は残る破折と残せない破折があります。ぎりぎりまでのこしても咬む事が出来なければ残しても意味がありませんし、患者さん側も苦痛を伴います。私も抜歯するかしないかで悩むことがあります。破折した歯を残して既に10年を経過している方もいますが、残す事によって不信に思う方もいました。

また、接着は破折してすぐの歯は残す事が出来ますが、破折して時間が経っている歯は残す事は殆ど無理です。抜歯して接着して戻す事もありますが、なかなか予後が良いことはありません。コストパフォーマンスだけではなく、患者さんの苦痛を観る事が大切なのですが、ここがとても難しいところなんですね。この先生は手間とコストパフォーマンスのことのみに触れていますが、本当は患者さんの価値観がとても大切になります。ただ、義歯は抜ける時間を延ばすことが殆どですから、義歯にならないように考える事は大切です。