本号の出だしに本シリーズには多くの歯科医から反響が届いている。その内容は「業界の闇をよく書いてくれた」という声から「誇張に満ちた歯科医叩きだ」という批判まで様々ある。

筆者と本誌取材班が目指すのは、矛盾に満ちた業界の構造的な病巣にメスを入れ、患者不在の歯科治療を変革することだ。

と、随分立派な事を言っていますが、書いてある記事はやはり八割方ウソ。ちょっと言いすぎかもしれませんが、私たちはどちらでもないと思っています。

「まず現場で起きている深刻な問題やトラブルという「膿み」を出し切ることが必要になる。」

とも言っていますが、私はこの記事を信じて「膿み」が「悪性腫瘍」にならない事を願っているだけです。

歯科医院で「保険の範囲内で治療を希望しますか」「自費診療を含む最善の治療を希望しますか」という設問が歯科医院ではあるらしい。私どもの歯科医院ではこのような設問は設けていません。通常、患者さんが求める治療を文書で聞くことが大切ではなく、患者さんがどうなりたかという事が重要なのです。例えば痛む歯だけ抜いて欲しいという人、歯を抜いて早く入れ歯でも何でもいれて早く終わりにして欲しいという人。出来るだけ歯を残してきちんと咬むようにして欲しいという人、そして歯を残せないといわれたのでセカンドオピニオンで相談に来る人。まだまだ患者さんの考え方は本当にそれぞれです。

私たちはこの設問をせず、どうしたら治すことが出来るのかという事をまず考え、それにそった治療計画をたてて患者さんに提供します。

この記者によると保険にするか、自費にするかという設問を「踏み絵」と言っています。まずすべての歯科医院に「踏み絵」があるか調査して貰いたいものですね。

確かに保険の場合、治療に限界があります。なぜなら歯科治療に極めて素人である傭人が勝手に治療法から保険点数まできめたことですから。私たち下の人間がそれに意見をいうと保険医をやめれば良いと言います。それを言われれば従うしかありませんよね。歯科の場合、医科と違って細かく治療法まで決められてしまいます。保険で守られる治療は保険通りにやらなくてはなりませんからそこからちょっとでも逸脱した良質な治療は無料でやらなくてはなりません。技術、点数その評価を見ればそこまで歯科は傭人から卑下されている医療であるというのは間違いないでしょう。