「ひび」「亀裂」も本当は治せる

斉藤先生は根管治療を主として治療にあたっているようです。根管治療は先生のいう様に根気が必要になります。これは歯科医だけではなく、患者さんも何回も通院しなくてはならないということもやはり根気が必要です。しかも何をやっているか分からない。私たちの所では患者さんが「いつまで歯を揉んでいるんですか?」と聞かれる事もあります。歯の根の中を少しずつ削って感染部を取り除きます。丁寧に行わないと歯の根(根管)に穴を開けてしまったり(パーフォレーション)、削りすぎて根管が破けてしまったりします(ストリッピング)。実際そういった歯のほうが「ひび」「亀裂」よりもたちが悪いことが多いです。これはX線写真を撮ってみると分かります。症状としてはいつまでも歯が痛い、歯茎から“にきび”の様なものができる等といったものです。このケースの方が抜歯しましょうといわれることが多いのではないでしょうか?

下のX線写真左は歯の根の膿が貯まりすぎて病院に紹介され入院して抜歯と膿の塊(囊胞)除去と骨形成を行う予定でした。

セカンドオピニオンで私どもの歯科医院に来院され抜歯せず骨が再生したものです。治るまでに10ヶ月を要しましたが歯を抜くことなく現在では普通に使えるようになっています。(右の歯の根の先の黒い影が囊胞)

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ここで

根管治療は手間がかかるのに保険点数が低い。だから「儲からない」として治療を渋る歯科医が少なくないのだが、その存在を知らないまま入れ歯やインプラントを選ぶ人が生まれる。では歯医者で“歯を抜いた方がいい”といわれた患者はどうすればいいのか。「まずはインプラントをやらない別の歯科医に意見を求めることでしょう。

と言っています。

確かに根管治療は保険点数が低いです。そして患者さんにも治療の善し悪しが解りません。ですからいやがる歯科医も多いとは思います。あとは歯科医の理性ではないでしょうかね。根の治療の成否のX線写真を撮ることは保険診療上決まり事ですから、この治療が終わった後のX線写真を患者さんと一緒に見ながら説明してくれるかどうかですね。自信があれば患者さんに写真を見せて説明が出来るわけですから。

そしてインプラントをやらない別の歯科医に意見を求めるということ。果たしてそれはどうかと思います。勿論インプラントの考え方にもよりますが、自分の歯を残すためのインプラントと考えればそれが一番良いと思います。インプラント専門医とかインプラントセンターなどの表記はまず歯を残さないと思いますが、インプラントをやらない歯科医の場合、治療の選択肢の範囲は相当狭くなると思います。歯を残すために大切なのはどのくらい歯科医が歯に執着しているかですよね。

この先生もインプラントが必要だと判断したらインプラントの手術が上手な先生をも紹介していますと言っていますが、インプラントをやらない先生がインプラントが上手かどうかも解りません。歯科は一つの医科の科と考えれば口腔内すべてを把握することが求められます。