この記者がコンポジットレジン(以下CR)なら健康な歯を削らなくて済むこと。そして自然な歯の色に近いCRがあるので、銀歯のように目立たない。。。云々
誤解の無いようにしていただきたいのはむし歯は浸潤していきます。完全にむし歯をとることは多少なりとも健康な歯を一緒に削り取ります。以前のように大きく削り込むことはありませんが、最小限ではありますが、健康な歯を削ることになります。この文書からするといかにも歯を削らないでむし歯が治るという勘違いをしますが、それはありません。
また、保険治療として普及が進まなかった。その理由に「CRの保険点数は銀歯より低いうえ、歯科医師が約30分間、治療に当たる必要があります。これが銀歯だと、歯科医は数分程度の対応で済み、あとは歯科衛生士や技工士と分業できます。歯科医にとっては、レジンは効率が悪く、採算が合わなかったのです。」と
実際はこの先生は大学に残っているため、多くの患者さんを見ていません。私達が実際、普及しなかったことをこう考えています。
現在ではCRの最良の性質はかなり向上しました。そのためどのような状態でもほぼ対応できますが、今から10年ほど前はそれほど材料の性質はそこまで良いとは思えません。前歯はその当初から、いや20年以上前からCRにて修復出来ていました。問題は金属を使用する臼歯(奥歯)ですが、材料的にそこまでの強度が確立されていませんでした。ですから充填してもすぐに割れるという事がありましたし、一度割れても修復は報酬としても無料でやり直さなければなりません。そうなると1度で済む金属の方が無難であったと言えます。
金属の詰め物をすると保険点数は治療2回、3割負担で1690円。これに対してCRは治療1回3割負担で710円と2倍以上の開きがある。といいいますが、金属の詰め物は歯型を取る材料、模型を起こす石膏、金属、そして技工料、接着するためのセメントの材料とかなり材料費がかかります。そうなると2倍以上の開きは当然なことなのです。
ですから全てを総合しても粗利はそれほど大きな差はないのです。確かに金属が高騰しました。しかし、それは今始まったことではありません。それでCRの普及が進んだとは思えません。単に材料の性質が良くなったのが原因であると思われますね。
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