アメリカCDC(疾病予防管理センター)は96年、感染症の有無に関わらず、全ての患者に予防策を講じる「スタンダードプリコーション」の概念を提唱。すぐに世界標準となった。日本の医療機関の大半がスタンダードプリコーションを導入したが、歯科分野には浸透していない。

 

歯科分野に浸透してないとは?

歯科は感染対策にはスタンダードプリコーションの話がある前から医科よりも危険である事は言われてきました。特に、直接先の尖った物を医科では触れる機会はあまりありません。

勿論外科手術など医科では直接鋭利な物を扱う事はありますが、歯科ほど操作が危険である事は歯科医ならば誰しも認識しているはずです。ではスタンダードプリコーションとはどんなことなのでしょうか。

スクリーニング検査(疑わしい病気の可能性がある場合に検査をする)によって明らかに感染症であると断定する、しないに関わらず、感染が確認出来てないものでも予防策をとるという考え方です。

すなわち、全ての患者の血液・汗を除く体液(唾液,胸水,腹水,心嚢液,脳脊髄液等すべての体液)だけではなく、分泌物・排泄物・傷のある皮膚・粘膜などをすべて感染源とみなし、予防策を講じることをいいます。

 

ではスタンダードプリコーションの具体策としては、

 

1.一患者、一処置ごとの手洗いの励行

2.患者の体液に触れる可能性がある場合は、手袋・マスク・ゴーグル、必要に応じてフェイスシールドや防水ガウンなどを着用する

3.鋭利な器材などは適切に取り扱う

4.使用したリネンや器材を適切に処理する

5.環境の整備

6.必要な場合は患者の隔離

 

これは殆どの歯科医が提唱と関わらずやっている事ですよね。問題は6.の必要な場合は患者の隔離というところ。これを感染予防と取るか差別と取るかです。そう考えるととてもデリケートな問題ですよね。