〜耳鼻科が後始末する“矛盾”〜

某大学医学部の准教授が「耳鼻科医とインプラントを行っている歯科医師」との橋渡しをしようと考え、関連学会などで司会のインプラント治療に耳鼻咽喉科医の知識と技術を取り入れる必要があると提言してきた。

という。

実際インプラントは人工的に作られたものを体内に埋入するわけですから問題視する事は大切な事です。しかし、それ以前に、歯性上顎洞炎というものがあります。これはインプラント以前にもっと重要な問題で、歯の根の治療の失敗(もしくはむし歯の放置)で上顎洞に問題を起こすものです。今までこれを抜歯し、ブリッジや義歯にしてきているものですが、歯を維持しながら上顎洞炎を治す考えをもう少し追求しても良いのではないかと思います。実はこの上顎洞炎の耳鼻科の範囲と歯科の範囲の線引きが出来ない部分でグレーゾーンになっているのも事実です。耳鼻科の範囲はインプラントが上顎洞の中に落ちてしまったり、歯に何らかの問題があり、上顎洞の根治手術が必要になる場合に重要になってきます。少なくとも歯科も耳鼻科の範囲に手を出すことをしなくてもしっかりとした診断、治療法などを十分に知っておく必要があります。下のX線写真は歯性上顎洞炎と診断され、抜歯と手術を勧められました。しかし、根管治療を正しく行う事により回避され、歯の根の周りに骨が再生しているのが分かります。

10年経った今でも上顎洞炎の症状を起こすことなく快適に現在の状態を維持しています。

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