先日、居酒屋さんで長い間通院している 患者さんに出会いました。

 

通院と言っても

むし歯や歯周病などの治療をするのではなく

このところずっと定期検診で来ている

お口の中は安定している患者さんです。

 

非常に楽しく話をしていて 定期検診の時に

「楽しそうでしたね」というと

「酒は良いね。人生楽しくなくてはね」と 答えました。

 

そのあとこう続けました

「医者は私に 『あまり飲まないようにしてください。』って いうんですよ。」

「でもね、 この年して食べたいものを我慢して

飲みたいものを我慢して長生きすることに 何の意味があるのかな?」

 

「若ければ注意も必要だけど

たとえ全うまで5年短くても

私は楽しく全うできれば

そっちの方が幸せだと思うね。」と

言っていました。

 

この方は現在御年75で、

定年退職後から

ずっと通院している方です。

 

目的や目標、そして責任があれば

全てを我慢することも大切ですが

人の人生の価値感にはそれも一つあると 私は思います。

 

私の医院でも退職をして

お口の中を点検すると

ボロボロになっている人が沢山います。

 

人生を命がけで働いていた

勲章でもあるのですが

わずかながらでも生きていく中で

ご褒美も必要なのではないでしょうか?

 

若い医者は薬を飲ませて

寝たきりになっても

生きる事に価値を見出すことがあります。

 

特に死と直結しない歯科の場合

お口の中から全身へ

どのようにQOLを上げていくかが大切で

痛くなければいいという事ではありません。

 

噛み合わせからくる 頭痛、肩こり、耳鳴りなど

ずっと悩み続けるより治ってしまった方が

楽なはずで

薬を飲み続けてその場限りを続けるより

良いことですよね。

 

人が生きて行く上での価値感は

それぞれ違いますが

「生きていて良かった、今の生活に満足だ」と

言えることが一番です。

 

贅沢を言えばきりがありませんが

満足出来る人生に少しでもお手伝い出来れば

私達の歯科も初めて大切な医療となるのです。