東日本大震災から10年目を迎えました。

 

当時は長野県内でも

「大きな地震だな。」くらいで

それほど心配に思いませんでしたね。

 

翌日、テレビで報道をみると

とんでもないことが起こっていて

地震だけではなく人災を伴って

福島第一原発事故の災害にも

体が震え上がったのを覚えています。

 

この震災で2万2000人が 犠牲者になり、

そして 震災後の体調悪化や自殺による

震災関連死は3739人に上ります。

 

この時、私たち歯科医師が医師とは違い

被災者の方々に寄り添う事は

ないんじゃないかと思ったのですが

とんでもない重要な事があったのです。

 

災害時の口腔ケアはお口だけではなく

身体の健康にも命をおびやかすほどの

影響があったのです。

 

避難所生活や水不足で

口の中を清潔に保つことが出来ないと

口の中には数多くの細菌が存在していて

それが増殖して

身体に悪影響を及ぼすのです。

 

歯が磨けないと

むし歯や歯周病が増えるという事も

もちろんありますが、

最も恐ろしいのは

高齢者の “ 誤嚥性肺炎 ” です。

 

阪神淡路大震災では 震災に関連した肺炎で

なんと200人以上が亡くなっています。

 

その中にはやはり “ 誤嚥性肺炎 ” も

最も多く含まれており

まして、それよりも被災者が多い

東日本大震災では

当然それに比例して高くなりますよね。

 

なぜ、 “ 誤嚥性肺炎 ” で 亡くなる人が多いのか。

 

その理由は、まずは命が最優先であり、

寝る場所や食べ物を確保することに

重点が置かれ、

衛生面での管理は 見過ごされてしまうのです。

 

断水や水不足のために 歯みがきもできず、

それどころか 洗口、うがいすら十分に出来ず

口の中の衛生状態は

日に日に悪化していきます。

 

口の中を清潔にすることが

不可能だけではなく

入れ歯の人は洗う事など到底出来ず

何日も不衛生の状態で入れ歯を

入れ続けなければならなかったのです。

 

口の中は細菌が過剰に増殖し

その唾液を誤嚥してしまったことで

肺炎が発症してしまいました。

 

災害から避難することが出来ても

避難所などで口腔衛生管理をしなければ

身体全体に悪影響が及び

命を落とす可能性があります。

 

口腔内の管理が良くないだけで

悪影響を及ぼす事があるので

あなたも災害時にかかわらず

日頃から口腔ケアを十分行いましょうね。

 

また、万が一のために非常袋の中には

歯ブラシ、また、

水を使えないときに使用する洗口液や

口腔ケア用のウェットティッシュ等を

常備することです。

 

今日震災から10年目を迎えました。

無念ながら震災で命を落とされた方

震災の関連死をされた方にご冥福を申し上げ、

私たちも口腔衛生の管理にも

力を入れて行きたいと思います。