こんにちは。岡谷市の太田歯科医院、歯科医師の太田大聖です。
先日、沖縄で開催された日本小児歯科学会大会に参加し、ポスター発表を行ってきました。
今回発表した演題は、
「下顎側切歯萌出不全に対し、バイオブロック装置およびMFTを併用した咬合誘導の一例」
です。
タイトルだけ見ると少し難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと、
「永久歯がなかなか生えてこないお子さんに対して、顎の成長やお口の機能に着目した治療を行い、良好な経過を得られた症例」
について報告したものです。
今回は学会発表の内容を交えながら、
・ 子どもの歯がなかなか生えてこない原因
・ 小児矯正はいつ始めるべきなのか
・ 口呼吸や偏った噛み方が歯並びに与える影響
・ 当院が考える小児矯正のあり方
についてお話ししたいと思います。
子どもの永久歯が生えてこないことは珍しくありません
保護者の方から、
「永久歯がなかなか生えてこないんです」
「反対側は生えているのに片方だけ出てきません」
という相談を受けることがあります。
永久歯の生える時期には個人差があります。
そのため、少し遅れているだけであれば問題ない場合もあります。
しかし、
・ 歯の向きに問題がある
・ 歯が骨の中に埋まったままになっている
・ 顎の成長が不足している
・ 歯が生えるスペースが足りない
などが原因となり、永久歯の萌出が妨げられているケースもあります。
そのため、「そのうち生えてくるだろう」と様子を見るだけでなく、一度原因を確認することが大切です。
早期に発見できれば、より負担の少ない治療で改善できる可能性があります。
今回学会で発表した症例について
今回発表した患者さんは7歳7か月の女の子です。
下の前歯の永久歯がなかなか生えてこないことを主訴に来院されました。
詳しく診査を行うと、
・ 口呼吸傾向
・ 左側での偏った咀嚼
・ 歯列の狭窄
・ 顎の成長不足
などが認められました。
歯だけを見ると、「永久歯が生えてこない問題」に見えます。
しかし実際には、顎の成長やお口の機能の問題が関係している可能性が考えられました。
そこで当院では、顎の成長をサポートする装置と、MFT(口腔筋機能療法)を併用しながら治療を進めました。
その結果、永久歯は自然萌出し、現在も良好な経過をたどっています。
MFT(口腔筋機能療法)とは?
MFTとは、
舌や唇、頬などのお口の周囲の筋肉を正しく使えるようにするトレーニング
のことです。
最近では、
・ 口呼吸
・ 舌癖
・ 指しゃぶり
・ 飲み込み方の異常
などが歯並びや顎の成長に影響を与えることが分かってきています。歯並びは歯だけで決まるものではありません。
舌の位置や呼吸の仕方、飲み込み方なども大きく関係しています。
そのため、単に歯を並べるだけではなく、お口の機能を整えることも重要になります。
口呼吸と歯並びの関係
近年、口呼吸のお子さんは決して少なくありません。
本来、人間は鼻で呼吸することが理想的です。
しかし、
・アレルギー性鼻炎
・鼻づまり
・扁桃肥大
・習慣
などによって口呼吸になっていることがあります。
口呼吸が続くと、舌の位置が下がりやすくなり、顎の成長や歯並びに影響を及ぼすことがあります。
また、口の中が乾燥しやすくなるため、虫歯や歯肉炎のリスクも高くなります。
当院では小児矯正の診査を行う際、歯並びだけではなく、呼吸の状態や舌の使い方についても確認しています。
偏った噛み方が成長に与える影響
今回の症例では、
左側ばかりで噛む「偏咀嚼」が認められました。
もちろん、すべての偏咀嚼が問題になるわけではありません。
しかし成長期のお子さんでは、長期間にわたる偏った使い方が顎の発育バランスに影響を与える可能性があります。
学会発表では、
偏咀嚼の改善とともに顎の左右差にも良好な変化が認められました。
成長期だからこそ、
歯だけではなく機能面も評価することが大切だと考えています。
「永久歯が生えてこない」だけを見ていては見逃してしまうことがある
歯科医院を受診される保護者の方の多くは、
「歯が生えてこない」「歯並びが気になる」といった目に見える症状をきっかけに来院されます。
もちろんそれらは大切なサインです。
しかし実際には、
・ いつも口が開いている
・ 食事中に片側ばかりで噛んでいる
・ 飲み込む時に舌が前に出る
・ 姿勢が悪い
・ 鼻づまりが多い
といった、一見歯とは関係なさそうな問題が背景に隠れていることもあります。
だからこそ当院では、
「歯をどう並べるか」ではなく、「なぜその状態になったのか」
を大切にしています。
小児矯正は歯を並べる治療ではなく、成長をサポートする治療
矯正治療というと、
歯並びをきれいにする治療というイメージを持たれる方が多いと思います。
もちろんそれも大切です。
しかし成長期のお子さんの場合、
歯だけを見るのではなく、
顎の成長やお口の機能を評価することが重要になります。
顎の成長が十分でなければ、
・ 歯が並ぶスペースが不足する
・ 永久歯が正しく生えてこない
・ 将来的に抜歯矯正が必要になる
可能性があります。
逆に、成長期に適切な介入を行うことで、将来的な治療負担を減らせることもあります。
そのため当院では、
「歯並びが悪くなってから治す」
ではなく、
「歯並びが悪くなる原因を早期に見つける」ことを重視しています。
「様子を見ましょう」が正しい場合もある
ここで誤解していただきたくないのは、
永久歯の萌出が遅れているからといって、必ず治療が必要なわけではないということです。
お子さんの成長には個人差があります。
実際には、「今は経過観察で大丈夫ですね」
というケースも少なくありません。
大切なのは、本当に様子を見てよい状態なのか、
それとも早期介入が必要な状態なのかを見極めることです。
そのためには、レントゲン検査だけではなく、
成長発育や生活習慣も含めた総合的な評価が必要になります。
学会発表を通して改めて感じたこと
今回の日本小児歯科学会では、多くの先生方の発表を聞くことができました。
診断方法や治療方法はさまざまですが、
共通していたのは、
「子どもの成長を理解することの重要性」
でした。
歯並びだけを見るのではなく、
・ 呼吸
・ 咀嚼
・ 舌機能
・ 姿勢
・ 成長発育
まで含めて診ることが、小児歯科医療の本質だと改めて感じました。
当院でも今後さらに知識と技術の研鑽を続けながら、地域のお子さんの健やかな成長をサポートしていきたいと思います。
岡谷市で子どもの歯並びや永久歯の生え方が気になる方へ
・ 永久歯がなかなか生えてこない
・ 前歯がガタガタしてきた
・ 口がいつも開いている
・ 片側ばかりで噛んでいる
・ 受け口が気になる
・ 小児矯正を始める時期が分からない
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
太田歯科医院では、小児歯科専門医の視点から、お子さん一人ひとりの成長発育を考慮した診査・診断を行っています。
歯並びだけでなく、その背景にある原因にも目を向けながら、お子さんの将来を見据えた治療をご提案いたします。🦷✨
歯科医師:太田大聖(日本小児歯科学会専門医・日本障害者歯科学会認定医)


