
乳歯にもみられるエナメル質形成不全とは? 〜見逃さないための小児歯科の視点〜
こんにちは。岡谷市の太田歯科医院、歯科医師の太田大聖です。
前回のブログでは、**永久歯に発生するエナメル質形成不全(特にMIH)**についてお話しました。
(参考記事:「エナメル質形成不全とは?」)
今回はその続編として、「乳歯(子どもの歯)にも起こるエナメル質形成不全」について、わかりやすく解説します。
エナメル質形成不全とは?
まず、基本的な復習です。
エナメル質形成不全とは、歯の表面を覆う「エナメル質」がしっかりと作られない状態のことを指します。
この状態の歯は、通常の歯よりも柔らかく、むし歯になりやすかったり、冷たいものがしみやすくなることがあります。
特に色の変化(白っぽい・黄色っぽい・茶色っぽい)や、歯の表面のざらつきなどで気づくことが多いです。
「乳歯のエナメル質形成不全」=HSPMとは?
永久歯にみられるエナメル質形成不全が「MIH(エムアイエイチ)」と呼ばれるのに対し、
**乳歯の奥歯(第二乳臼歯)にみられるものは「HSPM(エイチエスピーエム)」**と呼ばれています。
これは「Hypomineralised Second Primary Molars」の略で、乳歯の奥歯のエナメル質がうまく作られていない状態です。
症状は軽度であっても、放っておくとむし歯に進行しやすく、将来的にMIHとの関連も指摘されています。
乳歯のエナメル質形成不全の原因とは?
乳歯に発生するエナメル質形成不全の原因は、まだ明確には解明されていませんが、
研究により次のような要因が関係している可能性が示唆されています:
・ 周産期のトラブル(低出生体重、早産など)
・ 妊娠中の高熱や感染症
・ 母体の栄養バランス(ビタミンD不足など)
・ 新生児期の病気や抗生物質の服用
・ フッ素の過剰摂取 ←【近年注目されています】
特にフッ素の使いすぎについては、近年さまざまな調査で関連が示唆されています。
MIHとHSPMはつながっている?
MIHとHSPMは歯の発達時期や発症部位の傾向が似ていることから、相関関係があると考えられています。
たとえば、乳歯の第二乳臼歯(HSPM)が2歳6か月ごろに生えてくるのに対し、
その元となる歯の「歯冠(歯の頭)」は1歳〜2歳前後に作られています。
同様に、永久歯の6歳臼歯(MIHの好発部位)も3歳〜4歳ごろに歯冠形成が完了します。
つまり、「1〜3歳ごろの生活環境が、歯の質に大きな影響を与える」と考えられるのです。
フッ素とエナメル質形成不全の関係は?
フッ素は虫歯予防の定番ですが、使い方を間違えるとリスクもあります。
とくに、フッ化物入り歯磨き粉やジェルを頻繁に使用している家庭で、MIHやHSPMの発症率が高いという報告もあります。
近年、子どもに推奨されるフッ素濃度も上がってきています:
・ 2歳未満 → 1000ppmを1~2mm程度
・ 3~5歳 → 1000ppmを5mm程度
・ 6歳以上 → 1500ppmを1.5~2cm程度
ただし、日本では使用方法の周知が不十分なことも多く、フッ素の過剰摂取が心配されています。
歯科医院で塗布されるフッ素(約9000ppm)についても、過剰にならないよう注意が必要です。
もしかしたらこのエナメル質形成不全は歯医者が作り出しているかもしれませんね。
なぜ、影響が出るのか考えてみると「骨の中に浸透してしまっている」と考えるのが普通かもしれません。
だとすると、今後骨や全身に影響が出ないと言い切れますか??しかし、自治体ではむし歯にならないように子供によく塗ってあげましょうという動きがあります。
岡谷市の自治体の主な内容を示します。
岡谷市に限ったことではありませんが、「フッ素推奨」はどうしても多いのです。
さらには最近やりすぎの「水道水フロリデーション」があります。
簡単に言えば、水道水にフッ素入れる取り組みですが、日本で行った際、確かにむし歯は減ったのですが、歯のフッ素症(エナメル質形成不全の1種)を起こした人はゼロではなかったようです。
海外では水道水フロリデーションは普通に行われているとは言われていますが、「海外の水道水飲めますか??」という話です。絶対ミネラルウォーターですよね(笑)。
太田歯科医院の考え方
当院では、フッ素を完全に否定しているわけではありませんが、
「目的とリスクを理解したうえで必要最低限に」というスタンスをとっています。
また、エナメル質形成不全が疑われる場合には、乳歯でも注意深く診断・経過観察を行います。
乳歯だからと油断せず、早めの受診と予防ケアが何より大切です。
最も大切な予防とは?
一番の虫歯予防は、定期検診とご家庭での丁寧な歯みがきです。
「歯みがきを嫌がる」「歯医者で泣いてしまうかも」といったお悩みがある場合も、
まずはお気軽にご相談ください。お子さんの成長に寄り添った対応を大切にしています。
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日本小児歯科学会専門医/日本障害者歯科学会認定医
歯科医師 太田大聖(岡谷市・太田歯科医院)