
こんにちは。歯科医師の太田です。
前回は「エナメル質形成不全」というお話をしました。
https://www.o-dent-sp.com/blog/1158/
その中でもMIH(Molar Incisor Hypomineralization)と言われる上下顎中切歯(上下の前歯それぞれ4本)および第一大臼歯(6歳臼歯)に限局する原因不明のエナメル質形成不全のお話を主にさせていただきました。
さらに今回は、乳歯(子供の歯)にも発生するエナメル質形成不全のお話をしようと思います。
近年、MIHだけではなくエナメル質形成不全の増加が示唆されており、原因として考えられるものは、周産期および出生後1年以内における影響と考えられており、日光浴時間の減少によるビタミンDの不足、栄養失調や肥満などの栄養問題、タバコやアルコールなどの嗜好品、糖尿病、高血圧などの妊娠期に併発する疾患や新生児合併症、低出生体重などの影響も示唆されていますが、結局のところその原因は明らかになっていません。
特に第二乳臼歯(一番奥の子供の歯)にみられるエナメル質形成不全のことは、HSPM(Hypomineralised Second Primary Molars)と呼ばれています。
’’HSPMの一例。上下左右第二乳臼歯(一番奥歯)にエナメル質形成不全を認める。症例としてはかなり軽度であるが、他の歯と比べて色が異なる。””
発生しやすい場所(上下、左右)、男女間などでは発生頻度に差はなく、HSPMを有していると、むし歯の発生率が高くなり、さらに将来MIHが発生する可能性があり、相関性が認められています。
エナメル質形成不全を有する歯があると、他の歯よりも強度も弱く、虫歯になりやすくなります。そのため、十分な予防をする必要があるわけです。現在一般的に言う「予防」とはどんなものがあるでしょう。
すぐに思いつくのは「フッ素」だと思います。
その結果、2023年にフッ化物配合歯磨剤(歯磨き粉)の子供へ推奨されるフッ化物の濃度が変更になりました。
以前、「2歳未満は500ppm(フッ素の濃度)を切った爪程度の少量」でしたが、現在は、「1000ppmを1~2mm程度」に変更に、また、3〜5歳は「500ppmを5mm程度」が「1000ppmを5mm程度」、6〜14歳は「1000ppmを1cm程度」から「1500ppmを1.5~2cm程度」に変更され、以前に比べて非常に濃い濃度を多く使うようにと推奨されることになりました。
また、現在ではさらに濃度を高くしようとする学会の動向も伺えています。単純に、「歯が強くなるからフッ素をよく使いましょう」ということです。
さて、話を戻しますが、MIHとHSPMにはなぜ相関関係にあるのでしょうか。
歯冠(歯の頭)完成時期を示します。
前回、MIHの方で詳しくお話ししましたが、MIHを有する保護者へのアンケート結果で統計的に信頼性のある結果がでたのは「フッ化物(フッ素)の利用状況」であり、中でもフッ化物ジェル、フッ化物配合歯磨剤、フッ化物噴射剤を併用している子が多かったのです。
だとすると、MIHとHSPMはフッ素から??と考えるのが普通だと思います。
Google検索で、「フッ素 いつから」と検索してみると、「フッ素塗布は、歯が生えて間もない頃が最も効果が高いため、お子さんの歯の成長状況をみながら判断してあげてください。
フッ素塗布をおこなう期間としては、乳歯が生え始めた頃から、永久歯に抜け変わる頃までです。大人でもフッ素塗布をしている方もいますので、その後も続けても、もちろん問題ありません。」と出てきます。乳歯が生え始めた頃から・・・一番最初の乳歯は下の前歯から約生後8か月で生えてきます。
お気付きでしょうか。
第二乳臼歯(子供の歯の奥歯)の歯冠(歯の頭)が出来上がる時期とリンクするのです。
そして、この第二乳臼歯が生えてくるのが2歳6か月くらいです。
乳歯が生え始めたのでフッ素を塗りましょう。
さらにお気づきでしょうか。
第一大臼歯(6歳臼歯)の歯冠が出来上がる時期とリンクしましたね。
3歳になると定期的に歯医者に行く子も増えますが、その後もフッ素も塗り続けるとどうなるでしょうか。先程、歯磨き粉のフッ素濃度のお話しをしましたが、歯科医院で一般的に使われるフッ素の濃度は9000ppmです。
もしかしたらこのエナメル質形成不全は歯医者が作り出しているかもしれませんね。なぜ、影響が出るのか考えてみると「骨の中に浸透してしまっている」と考えるのが普通かもしれません。
だとすると、今後骨や全身に影響が出ないと言い切れますか??しかし、自治体ではむし歯にならないように子供によく塗ってあげましょうという動きがあります。
岡谷市の自治体の主な内容を示します。
岡谷市に限ったことではありませんが、「フッ素推奨」はどうしても多いのです。
さらには最近やりすぎの「水道水フロリデーション」があります。簡単に言えば、水道水にフッ素入れる取り組みですが、日本で行った際、確かにむし歯は減ったのですが、歯のフッ素症(エナメル質形成不全の1種)を起こした人はゼロではなかったようです。
海外では水道水フロリデーションは普通に行われているとは言われていますが、「海外の水道水飲めますか??」という話です。絶対ミネラルウォーターですよね(笑)。
あくまで、個人的な主観もありますのでこれが全てではないとは思いますが、当院があまりフッ素を使用しない一つの考え方だと思ってください。
最も一番のむし歯の予防は、定期健診と自宅の歯ブラシに限ると思います。「うちの子は歯ブラシをさせてくれないから・・・」、「歯医者は泣いてしまうかもしれないから」と諦めるのではなく、まずご相談いただければと思います。手遅れになる前に受診されることをお勧めいたします。
当院の小児歯科の取り組みはリンクからどうぞ。
https://www.o-dent-sp.com/pediatric/
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日本小児歯科学会専門医・日本障害者歯科学会認定医
太田大聖