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フィリピンで歯科医師として医療奉仕に参加して感じたこと|現地の歯科医療と実際の治療内容

2026.03.01

こんにちは。長野県岡谷市の太田歯科医院、歯科医師の太田大聖です。

この度、歯科医師としては5回目の参加となりますが今年もフィリピンで医療奉仕に参加する機会をいただきました。
日本では当たり前に受けられる歯科医療が、現地では簡単ではないという現実を、実際の診療を通して強く感じました。
この記事では、フィリピンの歯科医療の現状と、現地で行った治療内容、そして歯科医師として医療奉仕に関わる意味についてまとめています。
海外での医療奉仕や歯科医療の現場に興味がある方に、少しでも参考になれば幸いです。

 

なぜフィリピンで医療奉仕を行ったのか

日本では、歯が痛くなれば歯科医院に行くという選択肢があります。
しかし世界に目を向けると、歯科医療にアクセスできない人が多く存在するのが現実です。

フィリピンでは、経済的な理由や医療体制の問題から、
「痛みがあっても治療を受けられない」
「歯が悪くなったまま放置されている」
というケースが珍しくありません。

歯科医師として日々診療を行う中で、
自分の技術や経験が、別の場所で誰かの役に立つのであれば、そう考えたことが、今回の医療奉仕に参加したきっかけです。

フィリピンの歯科医療の現状

実際に現地で感じたのは、日本との歯科医療環境の大きな違いでした。

・ 歯科医院の数が限られている

・ 治療費が高額で、簡単には支払えない

・ 麻酔や器具、衛生環境にも制限がある

・ 定期的なメンテナンスという概念が根付いていない

その結果、虫歯や歯周病が進行した状態で初めて受診する方が多く、
保存治療よりも抜歯が選択されやすい状況があります。

実際に行った歯科治療内容

今回の医療奉仕で行った治療の中心は、抜歯でした。

日本であれば、

・ レントゲン撮影

・ CTによる三次元的な診断

・ 根の形態や病変の把握

といった情報をもとに治療計画を立てることができます。
しかし、現地の医療奉仕ではレントゲン設備はなく
術者の手の感覚と経験だけで歯根の形態を把握しながら抜歯を行う必要がありました。

歯の動き、抵抗感、骨の硬さ――
わずかな情報を頼りに、
「この歯は何根か」
「根は湾曲していないか」
「どこまで力をかけてよいか」
を瞬時に判断しながら処置を進めていきます。

日本のように十分な設備が整っていないからこそ、
歯科医師としての基礎的な技術と判断力が問われる現場だと強く感じました。

また、現地では

・ 設備

・ 時間

・ 継続的な通院が難しい


といった制約もあり、保存治療ではなく、抜歯が最も現実的な治療選択となるケースが多くあります。

ただし、決して「簡単に抜いている」わけではありません。
限られた環境の中で、
その人が今後少しでも痛みや不安から解放されるために、何が最善か
を常に考えながら判断しています。

歯科医師としての責任の重さと、
医療の本質を改めて実感する治療経験となりました。

医療奉仕に参加して感じたメリットと課題

医療奉仕で感じたメリット

・ 歯科医師としての原点に立ち返ることができる

・ 限られた環境で判断する力が鍛えられる

・ 「医療とは何か」を改めて考えさせられる

一方で感じた課題

・ 継続的な治療やフォローが難しい

・ 衛生環境や薬剤に制限がある

・ 一時的な支援で終わってしまう可能性

医療奉仕は決して美談だけではなく、
課題と向き合い続ける姿勢が必要だと感じました。

だからこそ「抜かずに治す」治療を大切にしたい

フィリピンでの医療奉仕では、多くのケースで抜歯が選択されました。
それは決して「抜くことが正解」だからではなく、
設備や時間、継続治療が難しいという現実的な制約があるからです。

一方、日本では

・ レントゲンやCTによる正確な診断

・ 無菌的な治療環境

・ 継続的な通院とフォロー

これらが整っています。
つまり、「抜かずに治す」という選択肢を取れる環境があるということです。

医療奉仕の現場で、
「本当は残せたかもしれない歯」
「環境が違えば、違う選択ができた歯」
を数多く目の当たりにしました。

だからこそ、日本で診療を行う今、
簡単に抜歯を選ばず、できる限り歯を残す治療を追求したい
そう強く思います。

根管治療や保存治療は、
時間も技術も必要で、決して簡単な治療ではありません。
それでも、患者さん自身の歯で噛み続けられる未来を守るために、
私たちは「抜かずに治す」ことに本気で向き合っています。

フィリピンでの医療奉仕の経験は、
歯科医師としての原点と、
太田歯科医院が大切にしている治療方針を、
改めて確認する時間にもなりました。

医療奉仕に興味がある歯科医師・医療者の方へ

医療奉仕は、
「行けばいい」
「やればいい」
というものではありません。

・ 十分な準備

・ 現地との連携

・ 医療者としての覚悟

これらがあって初めて、意味のある支援になります。
見学気分や自己満足ではなく、
本気で向き合う姿勢が求められる現場だと思います。


まとめ|医療奉仕の経験を、日々の歯科医療に活かすために

今回のフィリピンでの医療奉仕を通して、
歯科医療は決して「当たり前に受けられるもの」ではないという現実を、改めて強く実感しました。

レントゲンもなく、限られた器具と環境の中で行う治療は、
歯科医師としての基礎的な技術、判断力、そして覚悟が常に問われる現場でした。
その一方で、環境が整っていれば「違う選択ができたかもしれない歯」があることも、何度も考えさせられました。

だからこそ日本では、
簡単に抜歯を選ばず、できる限り歯を残す治療を大切にしたいと考えています。
レントゲンやCTによる正確な診断、無菌的な治療環境、継続的なフォロー。
それらが整っているからこそ可能になるのが、「抜かずに治す」という選択です。

根管治療や保存治療は、時間も技術も必要で、決して簡単な治療ではありません。
それでも、自分の歯で噛み続けられる未来を守るために、
太田歯科医院では一つひとつの歯と真剣に向き合い、治療に取り組んでいます。

フィリピンでの医療奉仕の経験は、
歯科医師としての原点を見つめ直すと同時に、
太田歯科医院が大切にしている治療方針を、より確かなものにしてくれました。

これからも、国内外を問わず得た経験を日々の診療に活かし、
患者さん一人ひとりにとって最善の歯科医療を提供していきたいと考えています。

※掲載している写真は、個人が特定されないよう十分配慮しています。


太田歯科医院(長野県岡谷市)

歯科医師 太田大聖

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