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【徹底解説】保険の根管治療と自費の根管治療の違い|抜かずに治すために大切な選択

2025.11.27

こんにちは。歯科医師の太田大聖です。この度、私はPERF-JAPAN認証専門医(根管治療)の資格を取ることができました。

今日は、その根管治療の話をしたいと思います。

歯の寿命を決めると言われる「根管治療」。
虫歯が神経まで進行したときに、歯の中の感染した神経や細菌を丁寧に取り除き、
内部を洗浄・消毒し、隙間なく詰め物をして再感染を防ぐ治療です。

しかし実は、
日本の根管治療の成功率は50〜60%程度と言われ、再治療になるケースが非常に多い
という現実があります。

一方、海外の成功率は80〜95%と大きく差があります。
なぜでしょうか?

その大きな理由の一つが、
保険診療と自費診療の違いによる“治療にかけられる時間と材料の差” です。

これから根管治療を受ける患者さんが、
「どんな治療を選べばいいのか」「何がどう違うのか」を理解し、
大切な歯の未来を守るための参考にしていただければ幸いです。


1. 根管治療とは?

根管治療とは、歯の中にある細い管(根管)から、
感染した神経や細菌を取り除き、きれいに清掃・消毒し、
内部を緊密に封鎖する治療です。

歯を抜かずに残すための最後の砦と言われ、
精度が治療結果を大きく左右します


2. なぜ根管治療は難しいのか?

・ 根管は非常に細く、枝分かれして複雑

・ 肉眼では見えない部分が多い

・ 感染源を一部でも取り残すと再発

・ 一本の歯に複数の根管が存在することも多い

特に上顎の6番などは、
MB2という見つけにくい追加の根管が約70%に存在すると言われます
(MB2が見つからない=感染が残る可能性が高まる)


3. 保険の根管治療でできることと、その制約

日本の保険診療制度は、
全国どこでも一定の費用で医療を受けられることを目的として作られています。
そのため、根管治療においても「治療内容ではなく回数によって点数が決まる仕組み」が採用されています。

これは患者さんにとって経済的負担が少ないという大きなメリットがありますが、
同時に 治療にかけられる時間や使用できる材料に制限が出てしまうという課題もあります。

● 制約①:治療にかけられる時間が限られてしまう

保険診療では、1回の根管治療で算定できる点数は非常に低く設定されています。
そのため、1人に長い時間をかけると、医院の経営が成り立たなくなり、
結果として 1回の治療時間が短くなりやすいという現状があります。

例)

・ 保険治療:1回あたり約15分前後が限界

・ 時間不足 → 感染源の除去が不十分 → 再発リスク

根管治療は細菌をどれだけ徹底的に除去できるかが鍵ですが、
丁寧さ=時間とも言えます。


● 制約②:使用できる器具・材料に制限がある

保険診療では、

・ ラバーダム防湿

・ CT撮影

・ マイクロスコープ

・ ニッケルチタンファイル

・ MTAセメント

といった最新の材料や設備は 保険の算定対象外です。

そのため、保険治療では

・ ステンレスファイルでの手作業が中心

・ パノラマ(全体X線)やデンタルX線のみで診断

・ 視認性が低い状態で根管処理を行うケースが多い

といった状況になります。

特に視認性の問題は深刻で、
肉眼の限界では、狭い根管や枝分かれ部分の感染源を確認できません
例として、先ほど触れたMB2(上顎6番に高確率で存在する追加の根管)は、
肉眼のみで探すのは非常に困難です。


● 制約③:回数が増えやすく、再治療になるリスクが高い

保険診療では、
細菌が残っていると判断される限り治療を継続しますが、
設備や材料の制約により、どうしても 治療回数が増えやすい傾向があります。

さらに、

・ 仮封の劣化

・ 再感染

・ 見つけきれない根管の残存

などが重なることで、
再治療や抜歯になる確率が高くなりやすいというデータもあります。


■ まとめ:保険の根管治療の現実

治療時間1回15〜20分程度
使用器具限られる(最新機器は基本不可)
視認性肉眼またはルーペでの作業
診断精度パノラマ・デンタルが中心(CT不可)
成功率約50〜60%と言われる
再治療の可能性高い

保険制度自体が悪いわけではありません。
ただ、治療の質を維持するための時間と設備を十分に確保することが難しい構造になっていることを知っていただくことが大切だと思っています。

ただし、これらの制約が 再発のリスクや治療成功率に影響するという事実を
患者さんに知っていただくことが非常に重要だと思っています。

大切なのは
「治療の選択肢がある」ことを理解し、自分に合った治療方法を選べるようにすることです。


■ 次回予告

次回は、今回の内容を踏まえて

自費の根管治療では何ができるのか?具体的なメリットと成功率の違い

について詳しく解説します。

・ マイクロスコープでの拡大視野

・ CTによる3D診断

・ ラバーダム防湿

・ Ni-Tiファイル

・ MTAでの高い封鎖性

・ 成功率80〜95%の根拠

など、実際の治療の違いをわかりやすくまとめますので、
ぜひ続けてお読みください。


✨最後に

当院では患者さま一人ひとりと向き合い、
歯をできるだけ長く残すために必要な情報を丁寧にお伝えすることを大切にしています。

根管治療について不安や疑問がある方は、
どうぞお気軽にご相談ください。

✍️筆者プロフィール

太田 大聖(おおた たいせい)
PERF-JAPAN 認証専門医(根管治療)
小児歯科専門医
障害者歯科 認定医

長野県岡谷市 医療法人至善会 太田歯科医院
**根管治療(歯の神経の治療)**と小児歯科・障害者歯科をなどに力を入れ、
**「抜かずに残す治療」**に力を入れています。

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