口の中が血だらけに・・・

「介護現場などで、認知症や寝たきりのお年寄りのインプラントが大問題になっています。」

とここに登場する歯科医が話しています。○○院長は、高齢者歯科診療に携わる中でインプラント患者の悲惨な老後を目の当たりにした。「高齢になると、自分の歯を失い、長持ちしたインプラントの人工歯だけが残るケースがあります。歯科の専門的ケアがなされていない介護施設では、歯が先にボロボロになり、インプラントも痛んできます。歯科も認知症の高齢者には『食いしばり』をする傾向があるので、残ったインプラントの人工歯が、歯茎に突き刺さって、血だらけになってしまう人もいます」

という。

 

認知症の高齢者は全員抜歯?

さて、問題となるのは認知症の高齢者はこの理屈から言うと残っている健全な歯をすべて抜いて入れ歯にするという事を言っているのではないでしょうか。

寝たきりのひとでも自分の意志を伝えられる人と自分の意志を伝えられないひと、そしてケアを誰がどのように行うかという事も大きな問題点であり、治療の分岐点にもなります。認知症の患者さんについては別な意味でも多々問題を抱えることが多いです。

寝たきりの患者さんでも自分の意志を伝えることができるひとは、往診などをして、きちんと咀嚼、呼吸ができることを確認出来ますので通常、歯科的に大きな問題を抱えることはないでしょう。問題は意識がない患者さんに対しての口腔内ケアはどのようにする事がいいのか。です。

歯肉を傷つけるという問題だけではなく、誤嚥性肺炎も大きな問題となります。意志が伝わりづらい患者さんは出来るだけ口腔内の状態を清潔に保ち、誤嚥性肺炎などによる感染をできる限り排除する事が重要です。